災害に関する税務上の取扱い 2

前回からの続きで災害に関する税務上の取扱いについて記載します。
わかりやすいようにかなり省略して記載していますが、実際はもっと細かな内容のため詳しいことは、
顧問税理士や税務署、当方へお尋ね下さい。

Ⅰ 申告・納付等の期限延長(法人税、所得税、相続税、源泉所得税等の国税が対象)

災害により申告・納付等をその期限までにできないときは、税務署へ申請し、承認を受けることにより、その理由がやんだ日(災害等により申告等ができない状態が解消されたと認められる日)から2ヶ月その期限が延長されます。
また、国税庁長官が災害のあった地域及び期日を指定して、申告・納付等の期限を延長する場合は申請手続きは必要ありません。
29年7月21日時点では、地域及び期日の指定は行われていないため、申請が必要です。

Ⅱ 納付が困難な場合(法人税、所得税、相続税、源泉所得税等の国税が対象)

災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、税務署へ申請し、承認を受けることにより、納税の猶予を受けることができます。

また所得税限定となりますが、減額申請することで予定納税額の軽減免除を受けることができます。

Ⅲ 住宅や家財などに損害を受けた場合(所得税)

確定申告で1又は2のどちらか有利な方法を選択(両方の選択はできません。)し、所得税の全部又は一部を軽減することができます。

1.雑損控除

災害により住宅・家財・車両等(事業用資産や高価な貴金属等は除く。)に損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。

2.所得税の軽減免除

災害により住宅や家財の損害金額(保険金などにより補填される金額は除く。)がその時価の1/2以上で、かつ、災害にあった年の所得が1,000万円以下の場合は、所得税が軽減又は免除されます。

また上記以外にも一定の手続きをすることで、給与等から天引きされる源泉所得税の徴収猶予や還付を受けることができます。

Ⅳ 事業用資産などに被害を受けた個人事業主の方

災害により事業用資産や棚卸資産などに被害を受けた個人事業主の方は、その損失金額を必要経費に算入することができます。
ただし、保険金などにより補填される金額は除きます。
また、純損失(所得がマイナス)がある場合には、次のように取扱います。

1.青色申告の場合

純損失を、その年の前年に繰り戻して還付の請求(28年の所得税を還付してもらう。)をするか、又は3年間の繰越が可能(30年以降の所得から控除する)です。

2.白色申告の場合

3年間の繰越が可能です。

Ⅴ 災害による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例

災害により被害を受けた事業者が、災害がやんだ日から2ケ月以内に税務署へ申請し、承認を受けることで、災害の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること(適用をやめること)ができます。

緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要となった場合や、災害による事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要となった場合が想定されます。

 

ここで挙げた以外にも災害に関する様々な税制がございます。
ご相談したい方は当方までご連絡下さい。

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